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若手能

二日に国立能楽堂で「若手能」公演がありました。
国立能楽堂の養成課が企画する、若手のための研究会。今回野村又三郎家の若手に声をかけていただきました。

名古屋と東京の楽屋の雰囲気はだいぶちがって、名古屋のほうがいくらかアットホーム、東京は緊張感があるんです。こないだの若手能はいつにもましての緊張感。各役ともそれぞれ指導の「えらい先生」が楽屋へ監督においでになっている。監督だから自分の用事は特になく、いまさら出演者に直前の指導をするわけでもなく、無駄話をしてなごむわけでもなく、座っている。
べつにヘマをしたら怒ろうと思って座ってるわけではないのです。厳しい目を光らせながらも見守ってくださっているのが感じられる。それと若手のまじめな意気込みで、いつもとはちがう緊張感と沈黙に満ちていました。

能楽の楽屋は個室がなくて、シテ、ワキ、狂言、囃子まで、各部屋がひとつながりの座敷になっているのが普通。こういう空気を共有できるのがいいところです。今回の狂言の部屋は、又三郎師が亡くなり、指導の小三郎氏が大阪で舞台のためにこられず、弟子たちだけでしたが、良い意味の緊張感を共有して舞台に臨みました。他役の先生がたからも、どんな弟子たちが残されたのか、多少は気にされ見られていたと思います。
終演後は、緊張からの開放感ではなく、あの場にいられたということで、とてもすがすがしい気分になりました。

中学生に

大阪の八尾市へ行って中学生に狂言をみてもらってきました。
私は狂言「仏師」のアド(田舎者)。それと能は「橋弁慶」の半能。解説付き。

解説時間は能&狂言と、囃子で計40分ぐらい。
能と狂言の話って、何を話してどうまとめればいいか、とてもむずかしいです。いろんな人がする解説を聞いていますが、みんなちがう。歴史、題材、言葉、演技、舞台、装束、主張…。時間と相手を考えて。でも解説でうまく伝わってるなと思うことは、実際のところおおくありません。見る前に話しても実体をつかめるわけでもないし。
その点、お囃子のほうは、一つ一つの楽器に絞って、見せながら話ができるので、なかなか反応がいいようです。一通り話して、そろって素囃子を実演すると、自然と拍手がおきます。そういえば私も最初の頃はお囃子ばかり気にしてみてたなぁ。
お囃子の解説の反応がよかったのは、話し方のこともあるのかもしれません。能狂言は二人が立って交互に話して話が流れていく感じ。お囃子は座って、一人ずつゆっくりていねいに。つい能や狂言のことって、いろいろ話したくて散漫になりがちなので、なにかポイントを絞ってきちんと伝えるのが有効かなと参考になりました。それから先にも書いてしまったけれど、「事前にこうして話してもわからないだろうな」なんて思いながら話すようではだめでしょうね。きっと。

小学校ではぜんぜんそんなことないのに、中学になると解説中から一部の生徒が寝てしまうのは常で、その割合によってこちらのやる気も変わってくるものですが、今回は気持ちを改めて、そういうことに関係なくきちんとやろうと思って臨みました。向こうにとっては、初めてかせいぜい二度目。これで能楽にハマって、すぐ能楽堂に通いだす子なんてまず居ないわけで、何年も先の将来につながるか、あるいはつながらないにしても、ここが大事な体験なんですよね。
最初から関心を持って見てくれる子に、きちんと見せるのは大前提。そうでない子の一人二人でも楽しんでくれればもうけもの。ちっともわからなかったという子にも、なんだか汗かいて大声出して一生懸命やってたなというぐらいの印象はもってもらいたい。そんな気持ちでやってきました。

じつはgooのブログ検索ってやつで、感想を探してみました。はっきりと私たちのを見たとわかるものはなかったけれど、それらしいものが二つ、女子と男子と、それぞれ楽しんでもらえたらしいです。いや、うれしい。またがんばろう。


私が通っていた東京芸大の、能楽の部屋から見た塀の向こうに「桃林堂」という和菓子屋があって、皆でしょっちゅう買っていました。記憶の片隅にあった「桃林堂=八尾本店」が、ホールの近所にあることを笛方の竹市さんが教えてくれて、芸大の一年先輩であった小三郎氏と早速いってきました。
上野店内に掛けてあった、茅葺屋根の本店の白黒写真、その店でしたが、「與兵衛 桃林堂」という微妙にちがう名前。店内に入ると、野菜のお菓子などの見慣れたのもありませんでした。話によると、ここが本店だったけれど、東京やデパートに出ているほうの桃林堂と分かれたのだそう。いまのこの店は、「創業時に戻り、その日作ったお菓子をその日に売る」とのことです。お店のかたは親切だし、この築300年という建物のなかで、菓子を選んで、腰掛でほうじ茶とそばぼうろをいただいて、なんだかとてもいい気分になりました。お菓子は良心的な価格で、(最中105円、生菓子160円~、甘納豆400円、という程度)ついついあれもこれもと買ってしまいました。この「與兵衛 桃林堂」、ちょっとわかりにくい場所ですが、探して行く価値アリです!

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