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年内は終了

年内分の舞台はもう終わりました。だいたい能楽師の御用納めは少し早めです。観客の皆様がお忙しいですから。

その代わり、年始は早々に舞台、ということになります。だからそれの稽古は御用納めにはなりません。

私は3日に名古屋能楽堂で、「目近」(めぢか)という狂言から始まりです。狂言共同社の井上靖浩氏がシテ、小三郎氏と奥津氏と私がアド。共同社とはよく一緒に舞台をしますが、東京芸大メンバー4人でというのは、案外珍しいので楽しみにしています。

「目近」はけっこう珍しい曲です。何しろ共同社では明治以来、約100年ぶりとのこと。又三郎家ではそれよりはずっと最近といっても、10年以上前に一度やったぐらい。

同じ設定の曲に「末広」「張蛸」があります。とくに「末広」は狂言のスーパー人気曲で、「目近」は少し地味なのです。でも比べなければそれはそれで面白い狂言ですので、どうぞお楽しみに。奥津氏と二人で、囃子物で盛り上げようと思います。

話し言葉の日本史

野村剛史著 吉川弘文館

新聞広告で見て、ちょっと気になっている本です。今日発売。狂言は話し言葉といわれていますが、単にそう言ってしまうとツッコミどころがたくさんあります。もうちょっと本体をつかむために。

来年の国立能楽堂の若手能出演者のインタビューが、能楽堂のサイトに掲載されていました。

シテ方のお二人は私より若い。宝生のお家元なんて14歳も若い。シテ方はさすがに立派なこと。大勢をまとめた頂点で演じますからね。私はへらへらした顔で出ています。

感想文

しばらく前に奥津氏と二人で、とある小学校にいって、6年生に狂言教室をしました。先日みんなの感想文をもらいました。丁寧に奥津氏にも私にもそれぞれ書いてくれて、クラスごとに色画用紙で表紙をつけて綴じてあります。ウレシイ~。保存版だ。

楽しい感想のひとつが、柿山伏でトビのまねを見たので、「ぼくもなるべく動物に似た声も出してみたいです」だって。

犬のほうは、今のみんなが言う犬の声とちがうよね。狂言だとビョウビョウ。ビョウビョウでも犬だと思ってもらえるように、僕も練習します。

小忘年会

今夜はこれから、芸大時代からの能楽師仲間と三人だけで小さな忘年会。
浅草の穴場的日本料理屋で。

あの頃も上野の蕎麦屋で飲んでたシブい仲間です。もっとも、私はあいかわらずほとんど飲めませぬ。

エベレスト&富士

小三郎氏、しばらく前までは、喉に悪いという理由で辛いものは全然食べなかったのですが、すこしずつ練習して多少は食べられるようになり、最近はインド料理によっぽどはまっているらしく、ほとんど会うたびにインド料理屋の話をします。

そんなことを思い出して、私も食べたくなりました。

Photo

うちの市内のスーパーマーケット「いなげや」店内の一角に、ネパール料理の店「エベレスト&富士」があります。ふつうなら鯛焼きたこ焼ソフトクリームでもありそうなとこに、ネパール。スパイスの香りが充満してます。店の名前も、とっても不思議なかんじ。

「セット1」\680 ナンも焼きたて。

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ちなみに又三郎家でも、私と奥津氏は辛いものがけっこう好きです。

トイレの

車のラジオで、トイレの神様という歌を聴きました。流行ってるんだそうですね。

邦楽だなと思いました。レコード屋でいう「純邦楽」というやつです。民謡にある「口説」そのまま。まったく「語り物音楽」でしょう。平曲の琵琶が浄瑠璃の三味線になり、ギターになった。音は変わっても、根っこは日本の伝統。

ちなみに、さだまさしもおなじですね。

平成になってもまだまだいけますね!

補足(デジタル大辞泉のページより)

くどき‐うた 【口説き歌】
民謡などで、長編の叙事歌謡を同じ旋律の繰り返しにのせて歌うもの。盆踊りに歌う踊り口説き、木遣(きや)りに歌う木遣り口説きなどがある。口説き。口説き節。

しおがある女性

こないだ名古屋で上演した『若和布』で、「この女には塩がある」という話になります。

女の人にしおがあるというのはどういうことだと思われますか?周囲で聞いてみると大方は、よくない印象だといわれます。塩辛いとか、塩もみして水が抜けてるとか、塩漬けでシワでも寄ってるとか、そんなとこでしょうか。

でも狂言ではよい意味で言うのです。古語辞典で「しほ」を見れば出ています。愛敬がある、かわいらしい。漢字は「潮」とありますが、「目元にしほがこぼれる―」とかいうので、塩でも良いのかもしれません。

私の場合は意味を考える前に、狂言でよい意味に使っていることがわかってしまったせいか、悪いような印象は持ちませんでした。少し意味は違うけれど、「しおらしい」という言葉の元なんじゃないの?と、ふと気づいて、それも辞書で調べてみましたが、関係ないようでちょっとがっかりしました。「萎れる」のほうだと考えれられているそうです。

どうして「しほ」があるのがかわいいんでしょうねぇ。

本が楽しみ

皆さんご存知でしょうけど、狂言の台本はいろいろで、大蔵流と和泉流を見比べると細かいニュアンスでも違いがあって、それで観客は楽しめるし、私たちも「ああここはそういう気分だったのか」とか、反対に「うちではそうじゃなくてこうなんだ」と気づくことは少なくないのですね。勉強でもありますが、発見がたのしい。

台本を読んでもそれはあるので、出版されているものはいくつか持っています。今回、古本の日本古典全書「能狂言」上中下(鷺流)を買いました。明日届く予定で楽しみ。

鷺流は享保保教本と、ヤフオクで買った天保の写本(十数曲ぶん)と、これで三種類目です。

鷺流はいま舞台で見られないので、もう過去の存在なんですよ。狂言の解説書を見てもたいして触れられていない。研究者による研究はされてますけどね。役者も、大蔵流と和泉流、互いの演出を気にはしても、鷺流はほぼ無視。

いくら無形文化財といっても、それはもったいないんじゃないかなぁ。役者が台本を見て試演して、「鷺流の狂言の特徴はこんな感じ」っていうことを考えてみてもいいんじゃないかな~と思ったりするんですけどね。自分のためにもなりそうな気がするんですが。

自分でやってみようか…おこられるかなぁ。

ところでいまはいい時代で、インターネットで山口に残っている鷺流の狂言がすこしみられたりします。佐渡のは…いま検索してみたけど見つかりませんでした。

せいせつき

清雪忌へいってまいりました。
話を聞くと、芸大で萬先生から教わったあの話は観世寿夫氏からきていたことだったのか、などこと気づくこともあり、自分も影響を受けているのだと改めて認識しました。
直接教えを受けたり、一緒に活動をした先生方が、若い世代にもまた伝えていこうとしてくださる。そのタイミングに居合わせたことは幸運です。こちらもまた熱意をもってこたえなくては。

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千之丞氏の訃報

茂山千之丞氏が亡くなられました。具合が良くないと聞いていましたが、ここしばらくは楽屋でもお目に掛かっていませんでした。だから、老けた印象はなかったし、生前葬もとっくにすませて、いつまでも前衛らしく左翼らしく、かっこよく去ってしまった。私の中では。

本屋へ

今日は天籟能の会でした。

主宰のワキ方・安田さんによると、宣伝にチラシはほとんど配らず、ツイッターで来たお客さんが多いとか。ついったーって流行ってるけど、ほとんどしらない。それでどうしてお客さんが来るのやら。満席で補助席もでていました。

とにかくふつうの能楽堂に来る能楽ファンとは違うお客さんが多かったということなんでしょうけれど、それでも(それゆえ?)反応は上々だったように感じました。船弁慶、幕際から見ていました。やっぱり面白いですね。

さて今日は懐がすこし温かくなるようなことがあったもので、帰りに久しぶりに本屋でゆっくりしました。

七日は清雪忌といって観世寿夫氏の命日で、今年は三十三回忌なのだそうです。いま大御所になっている先生方で、寿夫氏の影響を受けた方が多いということは知っていますが、私はよく知りません。

そんな私もどういうわけか、今年の清雪忌に行われる研究会?のご案内をいただきました。せっかくなので出席の返事を出して、いまさらでおこられそうですが、観世寿夫氏の有名な著作「心より心に伝ふる花」を読んでみようと思い立ち、本屋に行った、と、こういうわけです。

万作先生の「太郎冠者に生きる」と同じ、白水Uブックスにあったのですが、いまの目録にない。これは古本かなぁと思っていたら、角川ソフィア文庫で出ていました。白水社には申し訳ないけれど、出世したようなもの。たいしたものです。カバー絵の女面が少し気持ち悪くて、個人的には元から出してる白水社のほうが欲しかったけれど、我慢して買いました。

能楽の本のコーナーも見ました。いちばん興味を引いたのは、「幻視の座 能楽師・宝生閑聞き書き 」(岩波)という本。おととし出たんですね。知らなかった。シテは観客のために出てくるんじゃなくて、ワキのために出てくるんだというはなしが面白い。能って、あれはワキの世界なんですねぇ。なんかすごくうらやましく感じてしまいました。

アイはそのワキから「実はいまこんなことがあったんだけど…」と話を聞いて、「わぁそれはすごい。そりゃあなた、あの人の幽霊ですよ…」とやり取りするわけで、やっぱりワキの気持ちを知るということも大切なんじゃないか。ちょっと高い本だけど買ってみたいなぁ。

あ、とりあえず今日は「心より心に…」と、教科書に使うペラペラした影印本の「ものぐさ太郎」をかって帰りました。(写真は、ごろごろ寝ているものぐさ太郎)

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若手能 2/5 国立

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若手能 第20回記念東京公演

二月五日 土曜日 13時~

能「嵐山」 角幸二郎 則久英志 奥津健太郎 ほか

狂言「井杭」 野口隆行 奥津健太郎 奥津健一郎

能「羽衣・盤渉」 宝生和英 福王知登 ほか

¥3000~¥2000 学生料金あり

前売開始1/9

チケット・詳細は http://ticket.ntj.jac.go.jp

国立能楽堂による、若手能楽師を応援する催し。狂言にはめちゃくちゃ若手が出ますよ。小学一年生。ハハハ。

能のほうには芸大で一緒だった顔が何人もいて、こうやって一緒にやるとなると励みになりますね。

そのうち国立のホームページに、各曲のシテのインタビューが載るそうです。私のも。

以前「吹取」で出たときの記事も、たぶん過去ログにあると思うのでご参照ください。

グランシップ静岡能 1/23

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グランシップ 静岡能

1月23日 日曜日 14時~

静岡県コンベンションアーツセンター グランシップ 中ホール

能「藤戸」 観世芳伸 高安勝久 野口隆行

狂言「雷」 野村小三郎 奥津健太郎

仕舞「鉄輪」 関根祥六

能「紅葉狩」 山階彌右衛門 高安勝久 野村小三郎 松田高義 ほか

¥5000¥4000 学生¥2000

グランシップチケットセンター054-289-9000 http://www.granship.or.jp

他 各プレイガイド

名古屋能楽堂正月特別公演 1/3

1月3日月曜日 14時~

名古屋能楽堂

「翁」 武田邦弘 今枝郁夫 ほか

狂言「目近」 井上靖浩 奥津健太郎 野口隆行 野村小三郎

能「屋島 ・弓流 那須語」 祖父江修一 高安勝久 佐藤融 ほか

¥5000~¥3000

名古屋能楽堂http://www.bunka758.or.jp電話052-231-0088

ほか チケぴ など

名古屋御前能 12/9

12月9日 木曜日

昼の部 13時~
筝曲「石橋」梅若玄祥 藤間勘十郎 ほか
狂言「若和布」野村小三郎 松田高義 野口隆行 奥津健太郎
清元「吉野山」藤間勘十郎 西川千雅 ほか

夜の部 16時半~
清元・筝曲「巴御前」藤間勘十郎 ほか
能「松風・替之教」梅若玄祥 山本博通 高安勝久 野村小三郎 ほか

昼夜各¥13000~¥6000 学生¥2500

中京テレビ事業0529573333 ちけぴ 他


「若和布」は、以前国立能楽堂の「稀曲の会」で依頼されて上演したもので、稀曲という以上に珍曲です。他の家ではほとんどやらないんじゃないでしょうか。登場人物が多めで、場面転換が多くて、わりと長くて、ちょっとどぎつめ。でも和泉流最古の台本にも、ほぼいまの形で載っているので、案外昔の狂言の形なのかもしれません。この曲ってどうなの?と思いながら演じるワリに、ウケはいいです。

「松風」の小書き、「替之教」(かえのおしえ)は、又三郎家に伝わる間狂言の別演出で、通常短いところ長くなります。まず見る機会がありません。

天籟 能の会 12/4目黒

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第一回 天籟 能の会

12/4(土) 14時~ 目黒 喜多六平太記念能楽堂

おはなし 安田登

狂言「井杭」  野村小三郎 野口隆行 奥津健一郎

能「船弁慶・前後之替」 津村禮次郎 白川深紅 安田登 奥津健太郎 ほか

¥8000~¥3000

天籟 ホームページ http://www.tenrai.or.jp

間際のお知らせでもうしわけありません。それぞれ親しみやすい人気演目です。

「天籟」の活動自体も興味深いので、ホームページもどうぞ。

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