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クジラのヒゲ

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これ、なんだかわかりますか。クジラのヒゲです。ヒゲとは言っても、ヒゲクジラのヒゲは歯の代わりで、餌を濾しとるものです。たしかミンククジラのものだとききました。それをいま、ノコギリで細く切っています。

じつは狂言装束にはクジラのヒゲを使います。太郎冠者や主人の着ているベスト「肩衣」の、肩の先を立たせる芯にするのです。

尤もご存じの通り、捕鯨は制限されていますので、いまは竹などが入っているようです。
でもちょっと昔の肩衣にはクジラのヒゲが入っていて、外からは見えないのですが違いがわかります。ヒゲのほうが断然しなやかなのです。

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こんなに曲げても、くにゃーんとして、ふよーんと戻ります。実際に肩衣に入っているものはもう少し薄くしてあるので、もっと曲げられます。
竹の芯はもっと硬いので、肩衣の角のところをよく突き抜けて出てきてしまうのですが、多分ヒゲだとそうなりにくいし、太郎冠者が舞台で転がったりしても折れにくいと思います。

とは言ったものの、現代にこれのために捕鯨を推進せよというほどの問題ではありません。(個人的には制限つき捕鯨には反対しません。)

ところが、捕鯨推進を訴えるひとのなかには、日本の伝統文化にはクジラのヒゲを使うものも多い。反捕鯨は伝統文化破壊だ。というひともいるのだそうです。
たしかにからくり人形のゼンマイや、文楽人形の頭の仕掛けにも使うそうで、そちらの方の必要度は私にはわかりません。

そんなところから、反捕鯨活動をしているかたから、「もとはセミクジラを使った物だろうが、調査捕鯨をしているミンククジラのヒゲでも使えるものかどうか試してほしい。」と、一枚もらったのです。使えれば、少なくとも調査捕鯨以上に捕らなくて済むだろと言えるというわけ。

答えは、つかえます。十分に。

ただ、こう切ってもものすごく潮クサイし、以前、鉋で成形したら刃が錆びて困りました。効率的に加工ができれば、能楽界の全ての肩衣をミンククジラのヒゲで賄っても、たいした量はいらないとおもいます。
でも先に書いたとおり、竹でもたいした不満は出ていません。

せっかくあるので、今度の虫干しに持っていって、少し差し替えてもらおうかとおもいます。



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