狂言やるまい会 東京公演第30回記念

野村又三郎主催、東京では年に一度の狂言会です。
今回私は狂言三番全てに出ます(内一番は地謠)。
見ごたえのある番組ですので、ぜひおいでください。

第30回記念 狂言やるまい会東京公演
11月15日 土曜日 午後1時半開演 喜多能楽堂

狂言《文蔵》祝言ノ留  野口隆行 野村又三郎

狂言《石神》 奥津健太郎 松田高義 野口隆行

素囃子《水波之伝》 成田寛人 船戸昭弘 河村眞之介 加藤洋輝

狂言《唐人子宝》  野村又三郎 井上松次郎 奥津健太郎 伊藤泰 野村信朗 奥津健一郎 井上蒼大

5000~3000円 学生各席千円引き
チケットお申し込みは私まで。
nono.noguchi@nifty.ne.jp

チラシの解説があまりに短いので…

文蔵
狂言方がつねづね能の間狂言で鍛えている「語り」を活用したはなし。太郎冠者が「とってもおいしいものをご馳走になったんですよ。え~と、あれです、あれ。」ということから、主人が源平の戦物語を大熱演して思い出させる羽目に。

文蔵の語りは動作をまじえた「仕形話」で、とても面白いものです。迫力のある語りですが、食べ物の名前を思い出させるためという落差がおかしみを誘います。
東京芸大能楽専攻の卒業演奏会で、野村万作先生ご指導で狂言語りとして上演しまして、以来思い入れがあります。「那須語」を披く前段階としても、とてもよい経験になりました。先代又三郎先生からもお稽古としては教わりましたが、狂言で上演するのは初めてです。
また今回は祝言の留というめでたい終わりかたで、装束も常とは変わり、格が一段あがります。ぜひご覧いただきたいとおもいます。


石神
大酒のみの夫から別れたい妻が、松田高義さんのところへ話に行くと、「まぁそうすぐに決めずに、石神様にお告げをきいてみたらどうですか」とすすめられる。さてその石神様、じつは夫が変装して座っていて…さてさて。

石神のお告げとは言葉ではなくて、離縁の是非をたずねて石神が上がるか上がらないか、というものです。この石神とは、京都市上京区にある「出雲路幸神社」のことであるようです。石で彫った神像ではなくて石が祀られていて、道祖神とも言われ、夫婦和合の神とされるようです。陽石であることから、妻がこれを抱える姿にエッチな連想をするおかしみもあったのかもしれません。
私の演じる妻役について話をしますと、石神を持ち上げるときに歌をうたったり、あとで「狂言神楽」という舞をまったりするところが、普通の妻と違う演じどころでしょうか。「狂言神楽」は鈴を振って舞い、三番叟の鈴之段と似ていることから、それなりに大切に扱われていますが、三番叟のほうが遥かに重要なものですから、実際のところ共通する感覚で舞うことはありません。


唐人子宝
九州某所の御屋敷に長年仕えている唐人のもとに、唐の国から子供二人がはるばる迎えにくる。しかし唐人には日本にも子供が一人いて、主人からは「日本の子供を唐へ連れ帰るのは認めない」といわれる。唐の子供は「お父さんと帰れないなら僕たち刺し違えて死にます!」という。ああ、もういっそ自分が死んでしまおうか。

狂言としては異色かつ大がかりなものです。表面的には、唐人たちの話す「唐音とういん」というカタカナ中国語が面白く、小道具も多く、シテ唐人による「狂言楽」の舞も見ものです。
因みに唐音は、デタラメ中国語にしている家もありますが、又三郎家には唐音の伝書があり、現在の北京語に近い言葉で書かれているそうです。私も中高生のときにラジオ中国語講座をきいていましたので、唐音を聞いてわかるものもあります。
子供が三人必要なこともあり、たいへん上演が稀なのですが、国立能楽堂の上演記録ビデオをみたところ、過去には三宅派の上演が二度あったようです。ですがどちらも改作上演。このような曲は昔から上演のつど手を入れた可能性はありますが、今回はほぼ和泉流本来の台本に則ったものという点でも貴重です。



歌争

明日は国立能楽堂主催公演で「歌争」アドをします。

初めにこの曲を先代又三郎師にお稽古していただいたとき、型の稽古で、最後の相撲で負ける役が一回目と二回目で替わってしまいました。私と奥津くんとが相撲で組み合ってぐるぐるまわっているあいだに、先生が勘違いなさったようで。私たちも、あれ?と思ったのですが、そのままお稽古が仕上がってしまって謎のままに…
それ以来のことで、漸くほんとうの結末がわかりました。(笑)

それとは話がちがいますが、この話は大蔵流和泉流とも、シテとアドが入れ替わったり、言う台詞が入れ替わったり、いろいろになっています。お客様のほうでは、みるたびに違う、なんてことになるかもしれません。
又三郎家の本でも、シテがひとりでとんちんかんな事を言う仕方と、シテとアドでそれぞれ言うのと、二通り伝わっています。どちらのほうが面白いというほどの差はありませんが、演じかたがすこし変わってきますね。



昆布売 こぶうり

シテ・昆布売  アド・何某 (シテ・大名 アド・昆布売 などにも)

 七月七日の七夕。北野天満宮では「おちょうず」と呼ばれる御手洗(みたらし)祭があり、一人の侍(または大名)が出掛けます。

 家来が用事で留守なので、自分で太刀を持って出掛けますが、どうもこれは格好が悪い。ちょうど通りかかった若狭国小浜の昆布売りを呼び止めて無理に同行し、太刀を持ってくれないかと頼みます。もちろん昆布売りはそんなに暇ではありません。いろいろ言って嫌がるのですが、侍が太刀の柄に手をかけて脅すので、しぶしぶ持つことに。

 昆布売りは太刀の持ち方を教わって、褒められたりしているうちに、ちょっとその気になって「家来のように呼んでもいいですよ」と言います。しかし悪乗りした侍に、いきなり叱りとばすように命令されたものですから、とうとう腹を立て、太刀を抜いて侍を脅します。

 ここから立場逆転。昆布売りが家来になるどころか、侍は長裃すがたの昆布売りにされてしまいます。
 調子の良い売り文句に、「謡い節」「舞い節」「踊り節」とさまざまな節をつけた売り方を教わります。侍は器用にこなしているうちに、いつの間にかうきうきとしているようす。さあこれだけやったら太刀を返してくれるだろうと思いきや、昆布売りは太刀を持って逃げていってしまうのでした。

 御手洗祭に出かけるので夏の狂言ですが、そのほかに季節感はありません。もしかしたら昆布の行商に出るのもこの季節だったのでしょうか。昆布売の台詞に「毎年都へ昆布を商売に参る」とあり、「いつも都へ」ではないところも、ひょっとするとそういう意味なのかも?
北海道で採れる昆布が干され、北前船で若狭湾に運ばれ、小浜で加工され、そこから都へ、という行程だったそうです。ネットでちょっと調べましたが、時期的なはなしまではわかりませんでした。



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音楽劇『Act of Betrayal“裏切り行為”』

http://project-si.art.coocan.jp/schedule.html
Theatre Project Si 最終公演 ~関根勝退官記念~

Act of Betrayal
裏切り行為

2014年 3月18日(火) 18:30開演 / 21日(祝) 14:00開演
東京・国立能楽堂

あらすじ
1620年代後半、九州阿蘇の西側にある小さな大名の領土で起こる、徳川幕府の命令で行われたキリスト教弾圧を背景とし、不条理な権力の行使をめぐり、宣教師・修道女・領主・領主夫人等が拠無き理由により様々な形で裏切ることを選んでいく。領主・菊池晴信は自分の良心に背き、クリスチャンの弾圧に踏み切る。領主夫人はそれを止めきれずに、夫を裏切り、自分がクリスチャンとなり、処刑される。宣教師は処刑の様を見せられ、神を裏切り、信者達を救おうとする。修道女はその神父を裏切り、信者達と共に死を選ぶ。



関根勝先生(早稲田大学)は、以前から東西多分野をとりまぜたキャストや音楽で構成した劇を制作なさっています。じつは又三郎さんも過去に出演しています。また先生ご自身も、観世流の関根家のかたで、師範の資格をお持ちです。
今回ご縁がありまして、私と奥津とでキリシタン取締りの侍の役をいたします。オペラやパントマイム、洋楽邦楽、各界で活躍しているかたたちに囲まれての稽古は、たいへん刺激的魅力的です。

実は私、ほとんど時代劇のような演技でやっています。最初の読み合せのときに、「狂言調でなく、もっと速く、普通に台詞をいってほしい」と言われたのです。私は他のことはともかく狂言なら人にみせられると思っていますから、当然狂言らしいやり方で演じようと思っていたのに困ってしまいました。普通っぽい演技をしたら素人なんじゃないのと。狂言方として居られなかったら、どのように立っていればよいのかもわからない、というような感覚。

でも、普通っぽく何度も言っているうちに、次第に甦ってくる感覚がありました。知っている人は多くないと思います。私は中学高校のあいだ、『時代劇部』という部活をやっていたのです(狂言は学校外で高校生の時から)。しかも今回の役は悪役。時代劇の悪役といえばそれはもう、素晴らしくやりがいのある役なのです。

いまは全体像もだんだんみえて、仕上がりが楽しみになってきました。
もしかしたら妙にイキイキしている私が見られるかもしれません。
よろしければ、ぜひ。



狂言三の会 10/19名古屋

第十二回 狂言三の会

 十月十九日土曜日 午後二時開演(午後一時十五分開場)
  名古屋能楽堂
狂言『鐘の音』かねのね
 藤波徹 伴野俊彦
狂言『鏡男』かがみおとこ
 野口隆行 奥津健一郎 奥津健太郎
狂言『牛盗人』うしぬすびと
 野村又三郎 松田髙義 伊藤泰 奥津健太郎 野村信朗
全席指定 5000円  学生3000円
(狂言三の会会員 2000円 学生0円)
狂言三の会事務局
E-mail kyogen.3-no-kai@ezweb.ne.jp
fax. 042-392-5596
tel. 090-6707-4714(平日9-20時)
 E-mailまたはファクスでのお申し込みがスムーズです。

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又三郎氏の長男、信朗(のぶたか)くん、初舞台「靱猿」鏡の間で泣き出してしまったのも、はや9年前。中学生になった今年で子方は卒業なのです。能の「烏帽子折」のような華やかな子方卒業曲はありませんが、最後の披露は《やるまい会東京公演》で番外狂言「善意」。でもその前に名古屋でも披露しないんですか?しなくちゃいけませんよねと、私と同僚O君とで又三郎氏を説得して実現した、子方が活躍する感動作「牛盗人」です。

初番「鐘の音」は、年配ながら意欲満点で昨年能楽協会に入会した藤波徹・伴野俊彦両名。課題曲として与えられたこの曲を、稽古を積んで勤めます。

「鏡男」は、なんとなくたわいない狂言が好きな私と、同僚O君の「女が出る狂言がいいんじゃない?」という意見をあわせて、しかも親子で出られるじゃないと、両者の意向がピッタリ合って決まった曲。というわけでたわいないけどオススメです。

第29回 狂言『やるまい会』東京公演12/8

平成25年12月8日 日曜日 午後一時開演
於 十四世喜多六平太記念能楽堂(目黒駅)

先代野村又三郎七回忌追善

能「半蔀 立花供養」
シテ里女/夕顔の霊 小早川修  ワキ雲林院の僧 宝生欣哉  アイ能力 野村又三郎
笛 一噌隆之  小鼓 鵜澤洋太郎  大鼓 柿原弘和
後見 浅見真州 浅見慈一
地謡  清水寛二 西村高夫 柴田稔 馬野正基 谷本健吾 小早川泰輝

狂言小舞「尼ケ崎」
奥津健一郎

狂言「善意」
男 野村又三郎  有徳人 奥津健太郎  金法師 野村信朗

狂言「仁王」
博奕打 野口隆行  何某 松田高義  在所の者 藤波徹  在所の者 伊藤泰

前売 正面5000円,脇正面4000円,中正面3000円,二階3000円
学生は各千円引き
当日券は千円増

お申し込み
野口隆行 nono.noguchi@nifty.com
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狂言三の会12/9名古屋

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今年の狂言三の会は、めずらしい「復曲狂言三本立て」。ひとつは復曲初上演、ひとつは再演、もうひとつはすでに定番化したものです。

当代又三郎氏、こうしてみると案外復曲にも意欲的に取り組んでいるようです。

特大画像をアップしてしまいましたので、とりあえずこれをご参照ください。詳細はまた追い追い書きます。

狂言やるまい会 東京公演 11/4

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【 第二十八回 狂言やるまい会 東京公演 】

11月4日 日曜日 14時開演(13時15分開場)

十四世喜多六平太記念能楽堂(目黒駅徒歩7分)


《番組》

お話「駆け引きの在り方」 松田髙義

狂言『牛盗人』 兵庫三郎・奥津健太郎 牛奉行・野村又三郎
           太郎冠者・野口隆行 次郎冠者・伊藤泰 訴人・奥津健一郎

狂言『貰聟』  夫・野口隆行 舅・松田髙義 おなあ・藤波徹

狂言『蝸牛』  山伏・野村又三郎 親・奥津健一郎 金法師・野村信朗

《前売り料金》

正面席¥5000,脇正面席¥4000,中正面・2階席¥3000
(学生各千円引(当日要証明))


《お申し込み》

野口隆行 E-mail nono.noguchi@nifty.com  FAX 042-392-5596
(本公演チケットは各出演者が承ります。)

ご希望席種、枚数(学割の有無)、お送り先、ご氏名、ご連絡先をお知らせください。チケットを発送いたします。同封の送り状に記載の〈ゆうちょ口座〉へ、到着後一週間以内にお振込をお願い致します。公演間際の場合は、当日会場にてご清算をお願い致します。


《あらすじ》

「牛盗人」
法王の車を引く牛が何者かに盗まれたので、「下手人を訴え出た者には褒美を与える」と、高札が掲げられます。すると一人の少年が「下手人を知っている」と名乗り出てきます。

狂言としてはちょっと異色で、笑いよりは人情味の強い芝居のような作品。野村又三郎家においてはおよそ二十年ぶりの上演です。前回は先代又三郎師の熱演で、私も次郎冠者として舞台にいながら感動した記憶があります。今回は奥津健太郎氏親子による上演。子方のけなげな演技は、きっと楽しんでいただけることと思います。


「貰聟」
夫は泥酔した勢いで妻を家から追い出してしまいますが、翌日酔いがさめて後悔し、妻の実家へ出向きます。舅に「妻を返してほしい」と平身低頭で頼みますが…

狂言には「聟もの」といわれる、花婿を主人公にした話の一群があります。私も若手とは言いつつも、この夏に四十歳になり、そろそろ聟ものでもない年齢になってきました。そこで「聟ものをやっておきたい」といっていたところこの曲となったわけですが、初々しい花婿の話ではありませんね。
相手の舅には兄弟子・松田髙義氏。一昨年のやるまい会でも同様に、私が演じる酔っ払いの「悪太郎」の面倒を見てくださいました。また妻役には藤波徹氏。野村又三郎一門で最も大柄の妻ですので、勢いよく酔っておいださなくてはいけません。


「蝸牛」
老父の病気にかたつむりが効くという噂を聞いた男は、早速息子を呼出して、竹やぶまで獲りにいかせます。
狂言の定番中の定番ですが、野村又三郎派にのみ伝承される「親子版」の演出です。

カタツムリを知らないということが、太郎冠者ではなく子供になるので、無理なく愛嬌のある演出です。
信朗くんもいつの間にか小学六年生になりました。来年は中学生。声変わり前の子方としての信朗くんの演技も、そろそろ見納めになってきそうですよ。

口真似 9/21国立

残暑がしぶといですね。もう涼しくなるか、来週はなるか、と思っているのに、なかなか。

ですが日数は少しずつ進み、だんだんと「農繁期」ならぬ「能繁期」という季節になってきました。
ま、そういっても私はまだ暇な方なんですけれど。

今週は金曜日に国立能楽堂で定例公演があります。

狂言「口真似」 野村又三郎 野口隆行 奥津健太郎
能「羽衣・盤渉」 金井雄資 福王和幸 ほか

私は口真似の主です。

昔、豊臣秀吉、徳川家康、前田利家の三人が「耳引」という狂言を演じたという有名な番組があって、その耳引というのは現在の「口真似」だろう、という説があります。もうひとつ「井杭」だという説もあります。今のやり方で実際に耳を引くのは井杭のほうなのですが、口真似も昔は引いたんだとか。

決定的にこっち、といえる判断材料はないのですが、又三郎さんは「耳引=口真似」派です。「素人がやるんだから井杭なんかできないだろう?」とのこと。まぁ秀吉の能ぐるいは相当なものですから、秀吉は井杭ぐらいやれそうではありますが、他の二人もちゃんとおぼえられたかどうかと考えると一理あります。井杭はセリフ量もそこそこありますが、タイミングも難しく、三人揃ってしっかり練習しないとやれないかな?とは思います。

いずれにしても、それだけ口真似は単純なお話です。単純な笑いをストレートに演じて楽しませることにかけては、又三郎さんはなかなかのものだと思います。どうぞお楽しみに。

京都観世会9月例会 吹取

狂言「吹取」を、旧暦八月十五夜に近い日に、物語の舞台である京都で上演いたします。私は、また笛を吹きます。

いま調べたら、会のちょうど一週間後の日曜が十五夜だそうです。いいですね!「来週ちょっと五条の橋で月見をしようかな。」なんて気分が盛り上がりますね! でも笛を吹くかどうかは自己責任でお願いしますね。

会の案内リンクです↓
http://www.kyoto-kanze.jp/reikai/reikai9.htm

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